BGMが素晴らしい作品をピックアップするシリーズ、今回は「機動警察パトレイバー2 the Movie」です。1993年公開のアニメ映画で、音楽は言わずと知れた巨匠 川井憲次氏。
2021年には4DX版として復刻上映された人気作品です。
私が高校時代に友人と見に行ったのがもう25年以上前…。月日が経つのは早いものです。
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押井守監督が手がけた人気オリジナルビデオアニメーション「機動警察パトレイバー」の劇場版第2作。
2002年、突如として横浜ベイブリッジが爆破される事件が発生。自衛隊機によるものと報道されるが、該当する機体は存在しなかった。
同様の不審な事件が都内で相次ぎ、警察と自衛隊の対立が深刻化。事態を重くみた政府は実働部隊を治安出動させ、東京は事実上の戦争状態に置かれてしまう。
警視庁特車二課第2小隊隊長の後藤らは、東京に戦争を再現させてみせたテロリストの正体とその真相を追う。

パトレイバー2:作品考察
現実と仮想の境界線
そもそもこのパトレイバーという作品、かなり内容が現実的であることで知られています。
特にゆうきまさみの漫画版では「外国人労働者問題」や「警察と企業のスキャンダル」などの社会問題を取り上げており、その傾向が顕著です。
それに対してTVシリーズ版では、レイバー同士のアクションやドタバタ劇が強調され、やや若年層向けの内容でした。
劇場版として公開されている3作は、この漫画版とTVシリーズ版の中間点と言える作風です。
多分現実には起こり得ないけど、起こる可能性はゼロとは言い切れない程度には現実的。劇場版では、そんな境界線が描かれています。
前作である劇場版1作目は台風による建造物の共鳴をトリガーとして起動するコンピューターウィルスによるテロ。3作目は研究者の狂気と娘への偏愛をきっかけに生まれる巨大生物による人的被害。
どちらも荒唐無稽に見えて、絶対にありえないとは言い切れない。
このパトレイバー2という作品も、そんな現実と仮想の境界線を楽しむ作品なのかも知れません。
東京で戦争は起こり得るか?
実際にはこのパトレイバー2で描かれているように、政府が警察組織を簡単に見限ることはないだろうし、自衛隊と警察がここまであからさまに対立することもあり得ないとは思います。
どちらかといえば映画「シン・ゴジラ」で描かれていたように、省庁どうしが責任の所在をめぐってグダグダと会議を続け、時間が過ぎそうな気がします。
(そういえばシン・ゴジラでも米軍が介入していたし、意外とパトレイバー2とシン・ゴジラは対比すると面白いかも知れません)
そもそも「情報系統を混乱させることのみを目的としたミサイルテロ(登場人物である荒川に言わせると”茶番”)」なんてことを実行しようなどと考えるような人物が、現在の日本に存在するとも思えません。
しかしながら、国内でも過去にはオウム真理教による地下鉄テロ事件、世界に目を向ければアメリカ同時多発テロ、近年ではISによるテロやミャンマーのクーデターなど、突発的に起こる戦争状態というのは頻発しています。
このパトレイバー2も「国内で本当に起こり得る事件なのか?」「もし起きた場合、政府や警察、自衛隊の対応は?」なんてことを考えながら見てみると面白いかも知れません。
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音楽について
オープニングテーマ曲
まずは冒頭、柘植率いるレイバー部隊の戦闘後に流れるオープニングテーマ。
1993年当時、この楽曲から作中と同じような近未来性を強く感じたものですが、令和の今となっても近未来を感じさせるのは不思議な感覚です。
作中時間は2002年で、今となってはかなり過去の話なんですけどね。
全体にみなぎる緊張感
作品の内容と同じく、楽曲も全体的に緊張感にあふれています。
印象に残るのは、ストリングスの重低音がスタッカートで繰り返されるフレーズ。
中盤の山場、警察上層部に相対する後藤隊長と南雲隊長の場面では、後藤隊長の怒りの咆哮とともに緊張感が一気に開放される楽曲演出が圧巻。
唯一のメロウな楽曲
全体に緊張感のある楽曲が使われる中、テーマ曲を除けば唯一と言っていいメロディックな楽曲が使われているシーンがあります。
それが南雲隊長と、テロの主犯である柘植が邂逅する場面。不倫関係にあった2人は、事件の渦中で敵として再会します。
この場面のみピアノの美しいメロディが使われますが、これが逆に異彩を放ち、存在感を際立たせます。
まあ、この美しいメロディに反して、物語的には「南雲は最終的に後藤を選ばなかった」という切ない結末になるのですが…。
エンディング曲も、女性コーラスの効果も相まって非常に重厚。物語自体の重さを感じさせます。

おまけ
電話ネタに時代を感じる
今回、あらためてパトレイバー2を鑑賞しましたが、さすがに25年以上前の作品ということもあり、時代を感じさせる場面も多々ありました。
まず南雲さんが車載電話から特車二課に電話を掛けるシーン。捕まらない後藤さんに対して「あの人も携帯電話の必要な人ね。。」とつぶやきます。
この頃はスマホはもちろん、ガラケーすらも一般には広まってなかったですからね…。でも巨大ロボットは動いているという(笑)
さらに監禁状態から脱出したものの、車載電話を破壊されて連絡手段の断たれた松井刑事の一言
「電話はどこだー!?」

KDDの看板が時代を感じさせます。この頃はまだKDDIはIDO、DDIとの合併前ですからね。このネタが分かる人も少なくなってきたのではないでしょうか(笑)

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本ページの情報は2022年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
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