イージーリスニング、ヒーリングミュージックを語るなら「ポール・モーリア」を外すわけにはいきません。
1925年生まれのフランスの音楽家で、日本では60年代後半から現代までさまざまなメディアで楽曲が使用されています。
日本におけるヒーリングミュージック・ブームの立役者と言える存在です!
2006年、惜しまれつつもこの世を去りましたが、その楽曲は今も色褪せることなく人々の心に染み渡っています。
ポール・モーリアの楽曲の良さは、やはりその旋律とオーケストレーションの美しさに尽きると思います。あくまでも主旋律を活かすためのアレンジと楽器編成は、音楽の「美しさ」を存分に引き出しています。
チェンバロやピアノを多用し、ときに電子楽器も使用するアレンジの妙は、現代の楽曲と比べてもまったく遜色ありません。
あと、曲名の日本語訳も素敵だね。
「恋はみずいろ」とかね。
今回はポール・モーリアの数々の名曲の中でも、必ず聞いておきたい有名曲10曲をご紹介します。
ポール・モーリア:美しい旋律とオーケストレーション
恋はみずいろ
原題は「Love is Blue」。1968年にビルボードで連続一位を獲得した名曲中の名曲で、現在でもヒーリングミュージックの定番として耳にする機会が多いです。
チェンバロ~オーボエの物悲しい旋律から、壮大なストリングスに展開します。この高音域ストリングスに入る瞬間の高揚感が素晴らしい。このオーケストレーションの見事さこそがポール・モーリアの最大の魅力です。
エーゲ海の真珠
日本では1970年にシングル発売。このときの中間部のボーカルにはダニエル・リカーリというフランスの女性歌手が歌っています。
印象的なトランペットのオープニング→切ないピアノ→勢いのあるオーケストラ→女声ボーカルと、次々に展開していきます。展開箇所のそれぞれが際立っており、聞き所が満載です。
最近は「サビが強い曲が良い曲」という風潮がありますが、この曲のようにすべての箇所に味のある楽曲も評価されるべきでしょう。
涙のトッカータ
日本ではシングルが1973年に発売。来日ライブの際はモーリア自身がピアノ演奏をしたことでも有名。
あまりにも切ないイントロのチェンバロ&オーケストラの後、流れるように始まるピアノメロディ。そのドラマチックな展開は何度聞いても涙が出ます。
個人的にはポール・モーリア楽曲の中でも最も好きな楽曲かもしれません。
シバの女王
日本では1967年に発売。ポール・モーリアのオーケストレーションの中でも、際立って美しい旋律を奏でる名曲。
オープニングの重く影のあるピアノから、切なくも印象的なストリングスのメロディへ展開する様子はまさにポール・モーリアの真骨頂と言えます。2番のチェンバロも文句なく美しい。
オリーブの首飾り
ポール・モーリアがカバーし発表したのは1975年。日本ではマジックのBGMで多用されているため、モーリア楽曲の中でも知名度はもっとも高いかもしれません。
緊張感のあるストリングスとパーカッションのイントロの後、チェンバロの印象的な美しいメロディ。さらにストリングスでドラマティックに盛り上げていきます。
BGMとしてばかり注目されますが、楽曲単体としての完成度は非常に高く、聴きごたえは十分です。
この美しい曲をコミカルなマジックの曲に仕立て上げたのはどこのどいつじゃー!?(怒)
まあまあ落ち着け。
蒼いノクターン
日本では1969年に発表されたモーリアの自作曲。
一般的にノクターン(夜想曲)と言えばショパンですが、私にとってはモーリアのこの曲が最初に思い浮かびます。単純ながら優しく包み込まれるようなピアノのフレーズは、これぞポール・モーリアと呼べる至高の一曲です。
そよ風のメヌエット
こちらもモーリアの自作曲。77年に発表されています。
邦題のとおり、そよ風のように爽やかな優しさのメロディが印象的。メロディはチェンバロ、ストリング、オーボエと順に演奏され、それぞれが全く別の表情を豊かに表現してくれます。
渚のプレリュード
1981年発表。ポール・モーリアのコンサートではオープニングを飾ることが多いことで有名。
シンプルな楽曲が多いモーリアの楽曲の中でも、現代的な展開の複雑さが魅力の1曲です。
天使のセレナード
1973年発表。日本ではNHKの番組「世界の音楽」のテーマ曲として使用されたため、懐かしく感じる人も多いのではないでしょうか。
薔薇色のメヌエット
1975年に発表されたモーリアの自作曲。日本でもテレビ番組などで多用されているため、聞いたことのある人は多いハズ。
どこか高貴さを感じさせる印象的なイントロは、まさに「薔薇色のメヌエット」
それでいて”美しいチェンバロのメロディ”から”緊張感のあるストリングス”への展開は、まさにポール・モーリアの真骨頂。
他にも名曲たくさん!
とりあえず代表的な10曲をご紹介しましたが、もちろんこれ以外にも彼の名曲はたくさんあります。
至高のヒーリングミュージック、ぜひ一度じっくりと味わってみてはいかがでしょうか。