いつもの本屋で面白そうな本を探してプラプラしていたある日のこと、入口近くに平積みにされていた一冊の本のタイトルに、妙に心を惹かれました。
本のタイトルは「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために」。著者の幡野広志さんは34歳でガンを宣告された写真家にして一児の父とのこと。
本職が写真家とは思えないキレのある文章と独自の視点、さらに家族、特に息子に対する真摯な思いがストレートに伝わる内容に一気に引き込まれ、その時点で発売されていた著者の本を2冊とも購入してしまいました。
今回は、2020年7月時点で発売されている3作品をご紹介させていただきます。
必読の3冊
①ぼくたちが選べなかったことを、選び直すために。
幡野広志さんの著書では、最初に読むべき1冊。
著者が多発性骨髄腫を発症するまでの経緯と、放射線治療後に行った3人の女性へのインタビューをメインに構成されています。
3人の取材対象の女性は「若いときにがんを発症した」「母親をガンで亡くした」「家族関係に悩み自傷行為を繰り返す」など、それぞれが生きづらさを抱えているのですが、読み進めているうちにこれらが決して誰にとっても他人事ではないということを思い知らされます。
作中の、家族とは「与えられるもの」ではなく「選ぶもの」という言葉が非常に印象的です。
社会に蔓延する「生きづらさ」の根本的原因と、ある程度の解決策がこの言葉によって見えてくる気がします。
②ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。
「優しさ」という言葉の本当の意味を考えさせてくれる本です。
自分が「優しさ」だと思っていることが、実は自分が安心するためだけの「優しい虐待」になっていないか?
家族や子どもに対する「優しさ」、そして友人や他人に対する気遣いなど、改めて考えるキッカケを与えてくれます。
子育て世代がハッとさせられる、著者の優しさあふれる言葉が満載です。
③なんで僕に聞くんだろう。
クリエイターのコンテンツ配信サイト「cakes」で連載されている、著者への人生相談を書籍化したもの。このサイトで著者を知った人も多いと思います。
本人曰く「ガンになってからなぜか人生相談を受けるようになった」とのことですが、はっきり言ってこの人が人生相談を受けるのは必然と言えるほどの面白さです。
- 独自の視点での正論
- 正論をもとに質問をぶった切る痛快な回答
- それでいて、質問者への優しさにあふれた文章
著者の質問への回答には、上記の3つが必ず含まれています。決して感情的ではなく、質問者に寄り添った上での適切な回答。
これは「ガンになったから」とか「写真家(クリエイター)だから」とかは多分あまり関係なくて、著者の人間性、すなわち奥さんや息子への愛の強さがあるからこそ導き出せる回答なんだと思います。
子育てや夫婦間の悩みを抱える人には、特に読んでもらいたい1冊です。
まとめ
わたしも小学生と中学生の2人の子どもを持つ親ですが、幡野さんの言葉は耳に痛いことばかり(笑)
自分の妻や子ども、親との関係をもう一度深く考えるキッカケになりました。
全人類必読と言えるほどの良書ですが、特に子育て世代は読んでおいて絶対に損はありませんよ。