日本のジャズ・フュージョン界を牽引する、神保彰(Dr)、和泉宏隆(Pf)、鳥山雄司(Gt)の3人で結成されたバンド【Pylamid(ピラミッド)】をご存知でしょうか?
インストミュージック、特にフュージョン大好きで育った私にとっては、このバンドこそが「フュージョン・スムースジャズの世界標準」です。
追記:2021.4
ピアノ、キーボード担当の和泉宏隆さんが2021年4月26日、逝去されました。享年62。
私にとってはもっとも尊敬するキーボーディストの一人です。突然の訃報、残念でなりません。
バンド「PYRAMID」
「世界遺産」のテーマで知られるギターの鳥山雄司氏。元カシオペアで世界からも注目されるスーパードラマー神保彰氏、そして元T-SQUAREのキーボーディストで、最近はピアノソロでもアルバムを発表している和泉宏隆氏。
メンバーの3人は慶應義塾高等学校在学中からバンドを組んでおり、80年代以降それぞれが別々のシーンで活躍。
2003年に鳥山氏が「昔に戻ってインストやらない?」と2人を誘い、前身バンドとなる「O!kay Boys」を結成。その後バンド名を「PYRAMID」に改名し、2005年にファースト・アルバム『PYRAMID』、2006年に2ndアルバム『TELEPATH-以心伝心-』を発表。
以降は休眠状態が続いていましたが、2011年に復帰して3rdアルバム『PYRAMID3』をリリース、そして2018年に待望の4thアルバム『PYRAMID4』をリリースしています。
下の動画は2020年のブルーノート東京で行われたライブです。
メンバー
ギター:鳥山雄司
「image」にも収録された世界遺産の楽曲「The Song of Life」が特に有名ですが、個人的には「Shining Monument」がイチオシ。伸びのあるエレキがカッコ良すぎます。
ドラム:神保彰
言わずと知れた「世界のJINBO」。スーパーテクニックすぎて、もはや何をやっているのかよくわかりません(笑)
ピアノ:和泉宏隆
近年は、自身が手がけた作品を全てソロピアノで録音し発表する企画「コンプリート・ソロ・ピアノ・ワークス」をスタート、これまでに3アルバムを発表しています。T-SQUARE時代の名曲のピアノソロは感涙モノです。
リリースアルバム
1stアルバム「PYRAMID」
Sun Goddess
1stアルバム収録曲。Earth Wind & Fireのカバー曲である「Sun Goddess」を初めて聞いた時は衝撃的でした。
ジャズ的なライブ感とアドリブ感という「深み」、それに対して洗練されたテクニカルなデジタル感による「先進」。この2つが見事に融合した新時代のジャズ・フュージョンの幕開けを感じました。
MOON GODDESS
個人的にもっとも好きな曲である「MOON GODDESS」。全編にわたる和泉さんの切ないピアノメロディと、機械的かつテクニカルなギターカッティングとドラムの対比が最高です。
私のスマホ着信音、この曲にしています!
2nd『TELEPATH-以心伝心-』
個人的にもっとも好きなアルバム『TELEPATH-以心伝心-』。「これぞPyramid」という曲が満載です。
Tornade
特徴的なパーカッション「タブラ」のイントロ後にギターが唸りを上げ、サビは泣きのピアノで魅せてくれます。
Street Life
ジャズの名曲「Street Life」をインパクト絶大なアレンジで仕上げています。聞いていて全く飽きさせない、ライブ感満載の珠玉の一曲。
Goblem
スピード感と緊張感にあふれたピアノバッキング&エレキギターのフレーズの後、ブラスによる強烈なフィルの開放感がたまらないナンバー。
U&Moon in pink
切なく感傷的なピアノリフ〜爽やかなサビ。往年のフュージョンファンが狂喜しそうな王道的な展開ながら、全く古さを感じさせない洗練されたサウンドが素晴らしい。
ファーストアルバムとセカンド・アルバムは現在は新品では入手困難ですが、2015年に発売されたベスト盤「PYRAMID The Best」に何曲か収録されています。ぜひチェックしましょう。
このベスト盤にのみ収録されている「Excavation」という曲も、まさにデジタルとアナログを融合させた、Pyramidの真骨頂と言える曲ですよ。
3rdアルバム『PYRAMID3』
葉加瀬太郎のレーベル「HATS」から2011年にリリース。前作、前々作と比べるとアコースティック要素が強い王道フュージョン路線の一作。
Whenever You Want
鳥山雄司氏の伸びのあるエレキギターが目立つロックナンバー。Pyramidでは技巧的なカッティングギターが目立つ鳥山氏ですが、やはりこの曲のような派手なギターも良いですね〜。純粋にカッコいいです。
Rhapsody In Blue
ガーシュインの名曲をカバー。ファンクな雰囲気のなか、葉加瀬太郎氏のヴァイオリンメロディが異彩を放ちます。
Ticket To Ride
ビートルズの曲をやたらドラマティックにアレンジしたナンバー。ピアノによるメロディは、一瞬なんの曲かわからないくらいのアレンジになってます。
4thアルバム『PYRAMID4』
前作から7年ぶりに発売された待望のアルバム「PYRAMID4」。
王道フュージョンでアコースティック路線だった前作と比べ、いかにもPYRAMIDらしいメカニカルな部分が強調された原点回帰とも言えるアルバム。フュージョンというよりはエレクトロ寄りかも。
Love Lights
エレクトリックなシンセバッキング+技巧的なクリーンなエレキギター&ピアノ。エレクトリックでありながら全体に爽やかさを表現する、アルバム1曲めにふさわしい曲。
Time and Time Again feat.葉加瀬太郎
前作に引き続き参加している葉加瀬太郎氏のメロウなヴァイオリン、鳥山氏の泣きのギター、ピアノによるアドリブと、聞き所満載。技巧派好みの渋いナンバー。
Runnin’ feat.有坂美香, mabanua
有坂美香氏、mabanua氏とのコラボ曲。スピード感と緊張感がありながらも、ボーカルとヴァイオリンによる壮大さも併せ持っています。
まとめ
たまーに思い出したように新アルバムをリリースする「Pyramid」。今後の活躍にも期待です!!