うちの娘は今年から高校生になります!
とんでもなく元気に育っていますが、出産時は妊娠高血圧症候群(当時は妊娠中毒症と呼ばれてました)という症状になり、けっこう大変でした…。
今回は備忘録も兼ねて、当時の状況を記録しておきたいと思います。これから出産を控えている方に、何かしら参考になれば幸いです。
わたしは当時のこと、よく覚えてないんだけどね〜。
見てるこっちが死ぬかと思ったわ!!
妊娠高血圧症候群:出産までの流れ
2005年の話です。初産である妻の妊娠中の状態は良好でした。
普段から食事も塩分控えめで、もちろん妊娠中はお酒も飲みません。(普段もそんなに飲まない)
適度に運動もしていたし、生活上では特に問題点はありませんでした。
妊娠7ヶ月〜最終検診まで
妊娠から7ヶ月が過ぎたころ、体重が一気に増加し、足のむくみが目立つようになってきました。
担当のお医者さんに相談すると「このぐらいなら通常の範囲内」とのこと。食事等の体重管理をしっかり行うようにというアドバイスを受けました。
まあ、普段から節制していたので、これ以上気をつけることなんてなかったのですが…。
その後しばらくは本人の体調にも異変はなく、予定日前最後の検診を受けました。
その検診の際、担当のお医者さんからこんなことを伝えられました。
妊娠中毒症の兆候があるので、予定日を過ぎる場合は陣痛促進剤を使用しますよー。
ほへー?
妊娠中毒症? 陣痛促進剤?? どちらも聞き慣れない言葉…。
その時は言葉の意味もわからず「お医者さんにすべて任せれば大丈夫」とか考えていました。今にして思えば浅はかの極みです。。
正直、その時は「出産に命に関わるリスクがある」なんて考えてもいなかったですから…。
予定日を過ぎて
その後、体調に大きな変化はないまま予定日を2日過ぎ、陣痛促進剤を使用が決定し、入院することになりました。
薬を使用すると、その日のうちに陣痛が始まりました。
私は会社の仕事を早々に切り上げ、病院に直行。到着したのは22時過ぎぐらいです。
陣痛は17時ぐらいから始まっているということなので、すでに5時間以上は経過していました。
陣痛中の異変
通常、陣痛は10~14時間ぐらい続くのが普通らしいです。
妻は痛みでだいぶ苦しんでおり、また寒くもないのに震えが止まらないようでした。(今にして思うと、この震えが状態悪化の予兆だったようです)
妻の場合も陣痛開始から約10時間後、夜中の3時過ぎぐらいに分娩の兆候が見られてきました。
異変はその直後に起こりました。
ベッドで横たわる妻の、焦点が合ってない。
視線は私のやや後ろ、上空を見ているようでした。不思議に思い、私は妻に声をかけました。
な、何を見てるの…?
だが、返事はない。妻はボーっと上空を見るだけ。私は更に声をかけます。
だ、だだ、大丈夫!!??
……え? うん、大丈夫。
いちおう返事が返ってきたので安心。でも体の震えは止まらないようです。
次の瞬間。
嫁の体の震えは、大きな痙攣(けいれん)へと変化しました。
妻は10秒ほどの痙攣の後、身体を硬直させて動かなくなりました。
目は半開き、口からは泡をふいている状態です。
パニックになった私はこの状況を見て、最初にこう思いました。
死んだー!!??
緊急時でも冷静に動けるのが自慢の私でしたが、さすがにこの状況で冷静になれるはずがありません。
必死に妻に声をかける。
だが、反応がない。。
連打されたナースコールで駆けつけた看護士3人があわただしく陣痛室に入り、状況を確認する。
僕は看護士さんの指示で、妻が舌をかまない様に口の中に指を入れて押さえる。
そのうちに担当の先生がやってきて、そのまま酸素マスクを付けてベッドごと分娩室直行。
妻の状態が急変してからここまで、おそらく40秒ぐらいだったと思います。
分娩
妻からは、立ち会い分娩で生まれた直後の子供の写真を撮る様に頼まれていましたが、それどころではなくなってしまいました。
私が分娩室の前で待っていたのは10分少々だったと思いますが、これほど時間が長く感じられた瞬間はありませんでした。
しばらくして、赤ちゃんの産声が聞こえてきましたが、この状況で喜べるはずがありません。
さらに数分後、私は看護士さんの指示で分娩室に入室。妻はまだ意識が朦朧としているようでしたが、呼びかけには答えられるようです。
妻の最初の一言はコレ。
あれー?なんか熟睡しちゃった?なんかあった??
ヲイヲイヲイヲイーーー!!??
僕は安堵感でヘロヘロになり、しばらくは赤ちゃんのこと完全に忘れてました。
なんとか出産完了…
医者の説明
分娩のあと、僕は医者から事情の説明を受けました。説明は要約すると以下のとおり。
- 分娩直前に妊娠高血圧症候群の症状が急激に悪化
- 血圧が一時的に180まで急上昇。(140で要注意、150で危険)
- その影響で、脳の血管が膨張(要するに脳ミソがむくんだ)
今回、不幸中の幸いなのは、症状が悪化したのが分娩直前だったということ。もしこれが陣痛開始直後とかだと、まさに命に関わる危険度だったそうです。
そして、そのあとの医者の説明はさらに衝撃的です。
この症状の場合、脳出血の恐れもあるため、数時間後にCTで検査を行うよ〜
脳出血…。私は衝撃で涙も出ません…。
CT検査の結果
結論から言うと、検査の結果は全然問題ありませんでした。いやもう、一安心ですよ…。
ただ、その後は高血圧の反動なのか、低血圧状態が続くようになり、光をシャットアウトした暗い個室での点滴治療に移行。光の変化は血圧に良くないらしいです。
その後、3日ほどで大部屋に移動。全部で11日間の入院の後、ようやく退院の許可が下りました。
結果的には母子共に無事ではありましたが、恐ろしい経験でした…。
ちなみにヨメ本人は、出産の前後の記憶が全くないらしい。
陣痛の痛みはあったけど、出産時の痛みは記憶にないからある意味ラッキー?
こっちは胃が痛いわー。。
一般的な予防法
一般的に、妊娠高血圧症候群の予防策としては下記のようなものが知られています。
- 塩分を控えめにする
- 体重が増えすぎないように管理する
- 適度な運動をする
- 心身ともにリラックスを保つ
ただ、うちの嫁の場合は上記すべて特に問題はなかったんですよね…。普段から節制もしていたし、ストレスになるようなことも多くはなかったはずです。
つまり、この症状は妊婦さんであれば誰でも発症する可能性があると言えます。もちろん予防策をとるのに越したことはありませんが、それでも発症する時は発症します。
なので、妊娠高血圧症候群は発症することを前提にした予防策が重要です。
具体的には以下の2つです。
①可能であれば、脳外科のある総合病院での出産にする
まずはコレに尽きます。万が一、血圧の上昇により脳出血などの症状が出た場合、治療は一刻を争います。病院内に脳外科が併設されていればかなり安心です。
総合病院での出産が難しければ、緊急時の救急搬送体制の整った産院を選ぶことが大事です。
②陣痛の段階から誰かが付き添う
今回の場合は陣痛室で私が付き添っていたため、症状が急変したときにすぐにナースコールをすることができました。
もしこの時、妻が一人の状態だったらと思うとゾッとします。最悪、命に関わる状況になっていた可能性もあります。
出産の際は、可能な限り誰かが付き添ってあげましょう。そのほうが心身ともにリラックスでき、結果的に高血圧症候群の予防にもつながるはずです。
まとめ
もちろん、出産前から神経質になりすぎるのも良くはありません。
ただ、妊婦さんであれば誰しもが発症する可能性がある病気であることを頭の片隅に入れておけば、安心度はかなり違ってくると思います。
とにかく、出産時には周りの人がフォローしてあげることが一番大事です。
妊娠、出産が安全なものという思い込みを捨て、妊婦さんへのフォローを万全にして出産に臨みましょう!