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このブログでは「楽曲コンペで良い結果を出すこと」を目標にいくつか記事を書いていますが、今回は実際にコンペ用のワンコーラス楽曲を仕上げるまでの具体的なスケジュールを、実際の曲を使って公開したいと思います。
他の作曲家がどんな感じで曲を作ってるのかって、意外と気になるよね。
参考にして、自分のスタイルを確立したいね。
作曲期間は約一週間
以前のエントリーでも書きましたが、楽曲コンペは発注から締め切りまでが1週間程度であることが多いです。
もちろん中には1ヶ月単位だったり、3日ぐらいしかなかったりするものもありますが、ここでは私が1週間で1コーラスを仕上げる段取りを書いておきます。
題材楽曲
今回題材に使うのはこの曲!
実際にコンペに提出した曲ですが、残念ながら採用には至りませんでしたのでサンプルとして公開している曲です。
今回はわかりやすさを重視するため、あまり派手なアレンジの曲ではなく、パート数の少ないシンプルな楽曲を選んでいます。
仮歌ボーカルは小森ゆなさん。私の最も信頼するボーカリストの一人です。
小森ゆなさんにはホントお世話になってます。いつもありがとうございます〜
制作スケジュール
1日目:メロディ&全体の構成
まずはメロディと全体の構成、コード進行を決めます。この段階では、シンセリード系音色のメロディ&ピアノでの白玉コードバッキング&ベースと、非常にシンプルなパート構成です。
ちなみに私の場合はメロディから作り始める場合もあれば、コード進行を決めてからメロディを作る場合もあります。また、Aメロ→Bメロと順番に作る場合もありますし、いきなりサビから作成するときもあります。
作り始めはノリと勢いが大事です。手法にこだわりすぎて作業が進まないのでは話になりません。まずは少しでいいので取り掛かって進めてしまいましょう。
曲の内容によりますが、ここまでの作業時間が約1時間半~3時間ぐらいでしょうか。
メロディとコードのデータができた段階で、必要であれば仮歌ボーカリストさんと作詞家さんのスケジュールを確認します。
メロディを作る前にスケジュールを押さえてもよいのですが、私の場合は万が一「メロディが思い浮かばなかった(涙)」なんてことも想定し、メロディ完成後にスケジュールの確認をしています。
アレンジの時間を想定し、提出の2~3日前ぐらいのスケジュールを押さえておけば良いと思います。
ちなみに仮歌1コーラスの依頼料は¥3,000~¥5,000が相場。
仮歌に関しては別記事で詳しく書きますが、楽曲コンペにおいて仮歌の占めるウェイトはかなり大きいです。メロディと同じぐらい時間をかけるべき部分となります。
信頼できる仮歌ボーカリストさんを見つけることも、コンペにおける大事な要素です。
仮歌ボーカリストは「ココナラ」などのスキルマーケットで探すのが良いと思います。
「ココナラ」にはたくさんの仮歌ボーカリストが登録しているので、楽曲テーマに合ったボーカリストを探して依頼してみましょう。
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ちなみに今回のデモ曲を歌っていただいている小森ゆなさんもココナラに出品しています!
2〜3日目:アレンジ&仮歌・仮歌詞準備
次にボーカリストさんに渡すアレンジデータの作成と、必要であれば歌詞の作成に取り掛かります。
この段階でのアレンジもまだ簡易的なものですが、コードとベースライン、ある程度のドラムパターンぐらいまでは最低限作成しておけば、仮歌ボーカリストさんも作業しやすいと思います。
このとき、調性とテンポだけは必ず確定しておきましょう。ボーカル収録後にこれらを修正するのはかなりの手間です。
この段階で歌詞も準備します。もちろん自分で作詞できれば一番良いのですが、私の場合は外注にお願いしたほうが制作速度もクオリティも段違いに高くなるため、ほとんどの場合は作詞家さんにお願いしています。
作詞家さんたちの作品は本当にスゴイです。私には思いもよらないような素晴らしい言葉を綴ってくれます。
4〜5日目:仮歌発注&アレンジ仕上げ
ここまでの作業が完了したら、データを仮歌ボーカリストさんに渡します。
ちなみにコンペのボーカルレコーディングは、ほとんどどの場合は仮歌ボーカリストさんが自宅で収録する、いわゆる「宅録」で行われます。
やりとりはほぼネット上ですべて完結します。便利な時代です。
ボーカリストさんに渡すデータは以下のような感じです。
■メロディラインのみのオーディオデータ(wavやmp3など)
■簡易アレンジの伴奏オーディオデータ(wavやmp3など)
■歌詞データ(テキストやワード、pdfファイルなど)
■歌詞付きのメロディ楽譜
ハモリがある場合はハモリパートのオーディオデータも準備します。メロディデータと伴奏データは開始位置を合わせておきましょう。
また、wavやmp3などのデータ形式、サンプリングレートやビットレート(44.1kHz/16bitなど)も忘れずに指定しましょう。
修正リテイクを極力出さないように、発注の段階で細かい要望を伝えておければベストです。Youtubeなどで、歌い方の参考となる動画URLを伝えておくのも効果的だと思います。
ボーカリストさんに収録をお願いしている期間中に、アレンジの詰め作業を行います。ギターやパッドなどを追加し、ボーカル納品後すぐにミックス作業に入れるようにしておきましょう。
6日目〜:ミックス作業
ボーカルが納品されたら内容を確認し、問題がなければミックス作業に入ります。
時間があまりありませんので、コンプやリバーブなどはテンプレートを用意しておくのもアリです。ボーカリストさんごとに違う設定のテンプレートを用意しておき、楽曲に合わせて微調整していければ良いと思います。
また、ピッチ調整には時間をかけたほうが良いと思っています。「人間らしいピッチが…」とか言ってたらダメです。こっちは勝負賭けてんですから。
ボーカルエディットは極力時間をかけたほうが良い結果につながりますよ!
ちなみに私はピッチ調整にはMelodyneというソフトを使用しています。現時点ではDAW付属のピッチ修正プラグインよりも精度が高く、修正後の音質劣化も少ないです。
もちろん、DAW付属のピッチ修正ソフトでも充分に効果はあります。特にCubase付属のVariAudioは使い勝手もよくオススメです。
提出完了
最終的な仕上がりがコチラ。
1曲の制作の流れはこんな感じです。最初はスピート感に戸惑うかもしれませんが、慣れてくれとこのスケジュールで同時に2曲、3曲と作ることができるようになってきます。
自分の制作スタイルを確立し、制作スピードとクオリティアップの両立を目指しましょう!